センセイの顔色の原因はコイツなんだろうなとすぐに分かった。
一見優しい紳士に見えるけれど、女好きそうな、一筋縄ではいかない雰囲気。
男の俺から見たら一目瞭然なのに、何でセンセイは気付かないのだろう?
…やっぱり、恋は盲目なのだろうな。
残念ながら。
イラついたので挑発してみる。
看護師が驚いた顔をしているし、
コイツも目の色が変わった。
だけど挑発には乗ってこない。
まぁ、それなりに社会的地位もあるだろうし。
こういう状況でも自分のメリットデメリットを冷静に考えられる頭はあるのだろう。
そういう意味ではセンセイも、それなりに社会を渡り歩いていける男を手に入れたんだな。
…幸せになれるかどうかは別だと思うけれど。
女性問題で揉めたと分かったのはすぐだった。
コイツの対応や表情からして、あの女の登場は予想外だっただろうし、本気の女ではないのだろう。
いや、遊びでも選ばなそうだけど?
変な言い方だけど、コイツならもっと「正しい遊び方」をするだろうなと思った。
こんな地雷女なんていくらだってかわせるだろう。
何があったか知らないけれど、
おおかた変な女に粘着されたか。
それにしても気が触れている女だ。
センセイを守るためにも、俺はあの女を叩き潰すことにする。
センセイに傷を付けるなんて許せない。
もう大人なのに、少年の頃のセンセイへの気持ちを思い出す。
センセイにも同じ気持ちになって欲しいという願望と。
センセイなら俺に見向きもしないだろう、そういう観念がきちんとした人だという信頼と。
自分がどっちの展開を求めているのか分からないけれど。
センセイが俺にとって特別だということだけは本当。
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