クソ女ぁぁぁ!!
静かな病院に、耳をつんざく声が響いた。
言葉とも聞こえない何かを叫びながら、病室のドアを勢いよく開け閉めしている音が聞こえる。
術後のまどろみの中にいた私は、驚いて目を開けた。
あの大声の持ち主は誰かを探しているのか、汚い言葉で喚いているのが聞こえた。
私の病室付近でピタッと声が止んだので不思議に思っていたら。
勢いよくドアが開いた。
…あの女が立っていた。
20代前半だと思っていたけれど、
目を見開いて髪を振り乱して。
若いのにハリがなくカサついた肌で、でも露出の多い乱れた服装。
高い歩きにくそうなヒールの靴を履いて、歪んだ姿勢やだらしなく開いた脚の形。
どこをどう取っても惹かれるものはないのだけれど、私から夫を奪ったあの女が。
今ベッドの脇で私を見下ろしている。
ものすごい表情で。
…これは一体どういう状況なの?
クソ女!
死ねよ!
あの女の手には光るものが握られていて。
それが何かは術後の朦朧とした私には判断できなかったけれど。
腕に感じた鋭い痛みで、それが凶器だということはわかった。
だけど身体が動かなくて、あぁ、私はこのまま死んじゃうのかな?と思った時に。
お医者さんや看護師さん、警備員の人がたくさん来て、あの女は取り押さえられた。
私が覚えているのはそこまで。
術後にこれはキツすぎる。
本当になんで貴方は。
こんな女になんか手を出したのよ。
信じられない。
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