切ろう、と思ってからの興味の失い方は一気だった。
もともと賭けのためで、好きなタイプではなかったこともあるけれど。
こんなに急速に冷めるなんて、僕も年かな。
僕は思い立ったら即行動のタイプ。
用済み女はさっさと切った方が良い。
僕は妻と離れたくない。
惨めでも格好悪くても良い。
僕の本性を知られるよりは、土下座してでも今までの関係を継続したい。
…外面だけでも。
妻への愛情があるからというのはもちろんだけれど。
外聞や、今後の僕の人生においての妻のバックアップを考えると。
妻以上の女性は僕の身の回りにはいない。
だからどんな事をしてでもこの関係を維持したい。
その代わり、もう火遊びはやめようと誓った。
これからは妻も警戒するだろうし、今までみたいに仕事と言えば何でも済まされる状況にはならないだろう。
無宗教の癖に神に祈る。
僕は勝手な男だ。
それは分かっている。
あの子の契約を切るのは簡単だった。
もともと大した仕事もさせてもらっていないだろうし、そもそも能力が低い。
面接では嘘八百並べて通ったのだろうけれど、蓋を開けてみれば悲惨なものだ。
仕事がやりづらい、とこちらから切り出せば。
向こうが勝手に契約を切ってくれた。
鶴の一声でクビを切れるくらいには真面目に仕事をして成果を出して来たつもりだし。
僕以外からもクレームは来ていたみたいだから、簡単だった。
その後が想定外だったけれど。
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