復讐計画書 自立3

「本当はさ、化粧品とか薬とか、そういうのに興味あるんだよね」

この子には何でも素直に言える。
元教え子だからかな?
まぁ、私が教える事なんてほとんどなかったけれど。

化粧品に興味がある、と夫に言った事がある。
夫はデパートでたくさんのブランドコスメを選ばせてくれたけれど、
私が言っているのはそういうことではない。
スキンケア商品の成分とか、値段と中身の関係性とか。
大人になって、広告費とか人件費とか、そういう社会的な理解が深まると。
デパコスやドラコスへの物質的な興味が湧いてきた。
夫にはうまく説明できなかったけれど。

薬についてもそう。
私が子どもの頃は、薬の名前とか効果とか。
そういうのが記載された詳しい説明書みたいなものを貰った記憶がない。
1人で病院に行けるようになってからジェネリックという言葉を知り、
薬には副作用の可能性があることを知った。
飲み合わせに関しても今はインターネットでたくさん出て来るし。
同じ鎮痛剤でも成分が様々だって大人になってから知ったのだ。
…こんな事なら、もっと化学の勉強をしておくんだった。
体調を保つために薬を使うことは大人のあるあるだと思うけれど。
とっくに青春を過ぎた今、こんなに勉強をしたいと思うとは想像できなかった。
私には興味のある事があるのだ。
夫のおまけで、言われた事をこなす人生は悪くはないしそれに満足していたけれど。
今になってそこから飛び出したくなる自分を認識して少し焦る。

…できるのかな?私に。
年齢を理由にして。
時間を理由にして。
できない、やらないという事を数えていたけれど。
興味に蓋をする事はできない。

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