復讐計画書 約束2

あの女はミスが多くて。
そしてミスを隠すために、しょうもない嘘を吐くことで有名だった。
無断欠勤はよくしていたし、
不注意で交通事故も起こしていた。
完全に地雷女だったのに、
良くも悪くも我関せずの業界が功を奏したのか。
信用はないけれど、無視もされない。
そんな微妙な立ち位置。
貴方とあの女が仕事をすることになった時。
嫌だな、とは思ったけれど。
まぁどうせイベントが終わるまでの話だし。
あの女は貴方のタイプではないからと思って、口出しはしなかった。

仕事の打ち合わせで貴方とあの女が会った時に。
私との馴れ初めを聞かれたって言っていたよね。
世間話で話した流れで、
私たちの家庭の約束の話もしたって言ってたよね。
李下に冠を正さずじゃないけれど、
疑われるようなことはしないでおこうって。
業界的にも噂が命取りだから。
誤解されるような行動は慎もうって。
そう約束して結婚したって。

そういう話をしていたのに。
それでも貴方に迫って来るってことは。
あの女から私に対する、
宣戦布告ってやつなのかな?
私になら勝てるって、
そう思ってのことなのかな?

そんな事ないよ!
そんなふうに頭回ってないと思う。
っていうかそんな子じゃないって!

貴方があの女を庇うような発言をする度に。
どこでどう間違ったのか思い出せなくて苦しくなる。
だって私の記憶の中の貴方はあの女をバカにしていて。
体型とかも笑っていて。
仕事できなくて困るって愚痴まで言っていて。
私はそれを疑いもしていなかったのに。
今の貴方はあの女を「あの子」なんて呼んでいて。
こんな状況なのにあの女の弁明までして。
いつの間にこんなに私たちの間に。
あの女が侵略して来ていたんだろうって。
考えたけど。
分からないや。
分かりたくもない。

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