復讐計画書 変化1

異変を感じたのは上の奥歯だった。
…妙に痛い。
20歳を過ぎてから、右上の奥歯にだけ虫歯ができた。
その度に治療をしたけれど、何故かいつも右上で。
…また虫歯かな?
歯医者に行かないと。

そのくらいの気持ちだった。

どんどん痛みが増してきて、
耐えられなくて痛み止めを飲む。
右の上の歯が痛いのに、
何故か顎下が腫れてきた。
おかしいな?
虫歯のせいかな?

この時は、まだそこまで深刻には考えていなかったけれど。
今思えば、少しずつ少しずつ進行してきた病が。
表に出始めたのがこの時だったんだろうな。

歯医者の予約を取り、検査をしてもらうけれど。
上の奥歯に虫歯はなく、
でも下の歯の近くに影があった。
大きな病院を紹介されて検査をするけれど。
結局、歯科関連の所見は見当たらなかった。

紹介状をもらい、とても混雑する大きな病院へ行くことも。
たくさんの機械に入り、
苦手な採血をすることも。
私にとってはとてもストレスで。
こんな時に今までなら頼りたくなった貴方の顔を、
今は見たくない。
だから言わない。
もう貴方のほうから話しかけてくることもほとんどないし。
夫婦じゃなくてただの同居人みたい。
私たちの関係はこのまま終わって行くのかな?
離婚はしたくないって言ってたくせに。
結局口だけなのね、貴方って。

拒絶し続けたのは私なのに。
理不尽に貴方を責めてしまう、そんな私の本性。
自分が矛盾していることを言っているのはわかっているけれど。
そういう部分も受け止めなさいよと、
貴方に強要する私がいる。
私も大概ダメな女ね。
わかっているけれど。
でも、貴方を理不尽に責めたいの。
矛盾の渦に閉じ込めたい。

素直に謝罪を受け入れるなんて嫌なの。
こんな醜い私の心、
貴方、
知ってる?

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