復讐計画書 冷静と平静1

退院してすぐに、夫に頼まれた。
何も言わずに病院に付き合って欲しいと。
きっと自分に幻滅するだろうけれど。
最後だと思って向き合って欲しいと。

私が「最後」って言葉を出すのは平気なのに。
貴方に言われるのはすごく嫌だった。
私が貴方の心をかき乱したくてワザと貴方が悲しむ言葉を使うのはむしろやりたい事で。
その言葉に含まれた意味に気付くたびに貴方が悲しそうな顔をするのを。
少しだけ、気の毒に思って。
けれど気付かないフリをして貴方を追い詰める。
だけど貴方に使われるのは嫌。
決めるのは私であって、貴方に選択権なんて無いでしょ?
最後を決めるのは私。
私が貴方を捨てるの。
だからそんな言葉使わないで。
…私の機嫌は一気に悪くなる。

不機嫌になった私を見て、貴方は取り繕う。
来たくないならいいんだ、
無理矢理ではないんだ。
ただ、僕の嘘も偽善も今も。
君には全て知ってもらうべきだと思っただけで。

…頓珍漢な人。
私は貴方の言葉にイライラしているのに、
自分と向き合うのを拒否されたと思っているみたい。
きっと今までもそう。
こうやって、お互い言葉が足りなくて。
態度を見ただけで、勝手に自分のものさしで物事を測って勘違いして。
そうやってすれ違ってきた部分も、あったんだろうな。
そしてそれを改善しようと思わなかったのも、お互いの悪いところ。
結局は私たち、きっと向き合ってなかった。
お互いに、相手の表面しか見えていなくて。
二人はチームじゃなかった。
…愛していた筈なんだけどね。

自分の中にこんなに意地悪な一面があるなんて思わなかったし。
人を貶すとか嫌がる言葉を向けられるなんて思わなかったし。
狼狽する夫を見て可哀想とは思うけれど、ちょっといい気味と思って何度もチクチク責めてしまう自分もいる。
今まで自分の気持ちを考える事があまりなくて。
いつも夫の気にいるように、なんて思っていた節もあるけれど。
きっと本当の私はこうやって。
ちょっと意地悪で強かで、根に持つタイプで。
それをネタに相手を強請るような一面も持っているのだろうな。
そして夫も大人で落ち着いていて格好よかったけれど。
人の顔色を窺う部分や負い目があると強く出られない部分もあって。
案外今まで外でも家庭でも気を張っていた部分もあったのだろうな。

私たちって、お互いの何を見ていたのかな?
…愛していた筈なのに。

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