復讐計画書 あの女の過去9

あたしは誰にも愛されてなかったんだ。
母親は堕ろせないから産んだだけ。
父親はあたしを捨てたくて。
妹には煙たがられる。
こんなふうになったのはあたしだけのせいではないはずなのに。
あたしに寄り添ってくれる人は誰もいない。

考えよう。
とりあえず今日病院で言われた週数と近い頃にヤッた、
まだ子種が生き生きしてそうな男を必死に思い出す。
托卵できそうなやつ…。
アプリをくまなく見ていると、
一人見つけた。
コイツだ!

顔は微妙、アッチも微妙。
だけどコイツはあたしのことを無下には扱わなかった。
金をくれるオヤジたちもまぁ優しくはしてくれたけど。
でも年齢的に既婚者が多いから、托卵は難しいだろう。
コイツは30代って言ってたし、だらしない格好だったからたぶん独身。
…たぶん。

とりあえずコイツに連絡をしてみる。
定期の関係じゃないから可能性は低いけど。
だけどそれでもその可能性に賭けないと。
…これはお腹の子への愛情なのか?
堕ろすのが面倒だからなのか?
あんな奴でも母親になれたんだからあたしでもって憎しみなのか?

今考えてもわからない。
何度考えても答えが出ない。
というか、考えられるだけの知識や忍耐なんて、今までの人生で教えられてこなかった。
父親はあたしには無関心。
母親は色狂い。
学校の先生からは腫れ物扱い。
バレエでは厄介者。
周りの大人たちはあたしになんて向き合ってくれなかった。
何も教えてくれなかった。
それって全部あたしが悪いの?

クソみたいな人生。

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